多くの喫茶店やコンビニエンスストアで見かける透明で美しい氷。一方で、家庭で製氷皿を使って作る氷は、しばしば白く濁っています。この白濁部分は一体何から成るのでしょうか?
また、家庭でも透明な氷を作るにはどうしたらよいのでしょうか?
この白濁は、氷の中に閉じ込められた空気の泡が原因です。商業的に製造される透明な氷は、特殊な方法で空気を含まずに凍らせることでクリアに仕上がります。家庭でも透明な氷を作るための方法はいくつかあり、その技を知ることで、自宅でクリアな氷を楽しむことができますよ。
氷の内部に見られる白い部分の正体
氷を冷凍庫から取り出すと、その外側は透明である一方で内部には白い部分が見られます。これは味も特徴もない単なる空気の泡です。
氷に空気が含まれる理由
水には元々空気が溶けており、特にその主成分である酸素は水生生物の生存に不可欠です。水が凍る際、氷結晶が形成される過程で空気などの不純物は結晶構造に取り込まれず、次第に氷の中に閉じ込められていくため、白い部分として目に見えるようになります。
特に、急速に冷凍される場合、水中に溶けていた空気が凍っていない水の量が減る一方で、溶解度も変化します。その結果、溶けきれなかった空気が氷の中に閉じ込められ、白い部分として現れるのです。この過程で、冷却が速ければ速いほど、空気は氷の結晶化によって外に逃げる間もなく固定され、白く濁った部分が形成されやすくなります。
なぜ氷の中の空気は白く見えるのか?
氷自体は透明ですが、その中に閉じ込められた空気は気泡として存在し、氷の境界との間に凸凹面を作ります。この凸凹があるため、光の通過経路が変わります。
太陽光は白色光で、氷の気泡の境界面で光が乱反射します。この乱反射により、氷の中の空気の気泡は白く見えるのです。これは、透明なガラスが破損した際の破片や細かく砕いた氷が白く見える現象と同様です。各色の光が均等に散乱されるため、全体として白色に感じられるのです。
家庭で透明な氷を作る方法
空気の少ない水の準備
透明な氷を作成する際、水に溶け込んだ空気を減らすことが重要です。気体は温度が高くなると水から逃げやすくなります。例えば、20℃の水1リットルには約18ミリリットルの空気が溶け込んでいますが、80℃では約11ミリリットルしか溶け込みません。
水を沸騰させることで、溶けきれない空気が小さな泡として現れ、最終的には水蒸気とともに放出されます。この過程で水中の空気が大幅に減少し、ほとんどの空気が抜け去ります。水を十分に沸騰させ続けることで、ほぼ全ての空気を水から抜き取ることが可能です。これにより、冷え固まると透明な氷が得られます。
氷をゆっくりと凍らせる方法
氷を作る際、沸騰させた水から多くの空気を追い出すことが可能ですが、冷ましや製氷皿への移動時には再び空気が溶け込む場合があります。透明な氷を作るためには、凍る速度を遅くすることが重要です。水が急速に凍ると、内部の空気が逃げ場を失ってしまうためです。
冷凍庫の設定温度を少し高めに調整し、製氷皿が直接冷凍庫の壁や底に触れないように断熱材を使うか、製氷皿を割り箸などで支えることで、氷をゆっくりと凍らせることができます。
部分的に凍らせてからの対応
氷が凍る過程で、未凍結の水には空気が集まって濃縮されます。水が約三分の二凍った段階で、未凍結の水を捨てることにより、最終的により透明な氷を作ることができます。この方法により、残った氷に空気が閉じ込められるのを防ぎ、透明度の高い氷を得ることが可能です。
透明な氷の特性:なぜ溶けにくいのか
透明な氷はゆっくりとしたプロセスで凍結され、その結果、結晶が大きく形成されます。氷の結晶が大きいほど、結晶同士の接合点が少なくなり、それが氷が溶ける速度に影響します。結晶の大きな透明な氷は、表面だけでなく内部の結合部分からも溶けることが少なく、そのため溶けにくい特性を持ちます。
透明な氷:まとめ
家庭で白く濁る氷の原因は、氷中の空気の存在です。これを避けて透明な氷を作るには、以下のステップを踏むことが推奨されます。
- 水を沸騰させて空気をできるだけ除去する。
- 水を製氷皿に移し、できるだけゆっくりと凍らせることで大きな結晶を形成させる。
- 水が約三分の二凍ったら、未凍結の水を捨てることで、よりクリアな氷を得ることができます。
これらの方法により、家庭でも喫茶店やコンビニで見られるような透明な氷を作ることが可能です。